なぜ、先生や保護者の評価が低い教科書が採択されたのでしょうか?

教科書採択の仕組みは?

藤沢市の教科書採択は、現場の先生方を服務調査員が作成する「調査資料」、各中学校で教科の先生方が調査研究をして、学校長名で提出される「教科用図書調査書」、各学校の異展示場と藤沢南郵便局を会場とする保護者・市民の意見を反映する「意見書」の3種類の資料が教科用図書審議委員会(※1)に集められます。この審議委員会の第2回議事録が「答申」として教育委員会に提出されます。

審議委員会へ提出される資料は、教育委員会冒頭参照される資料として示されます。諸資料の中で教科の専門家の意向が反映される資料は「調査資料」と「教科用図書調査書」の2種類ですが、「調査資料」全部の教科書の良い点にしかふれていないので、専門家から見た優劣が全くわかりません。教科用図書調査書は、市民相談所の情報公開センターで市民に広く公開されています。

現場の評価書調査研究(19中学校の調査書の合計点)で、育鵬社は最低だった!

社会科の場合、9観点それぞれの観点でよい教科書に〇をつけてその理由を書く形式です。19の中学校から調査書が上がってきますから、19×9 すなわち合計171の〇が、現場の調査研究の結果を示す数字になります。私たちが集計したところ、歴史では、1番が東京書籍の60ポイント、2番が帝国書院の46ポイント、育鵬3ポイント。公民については、1番が東京書籍の86ポイント、2番が帝国書院の44ポイント、育鵬社は0ポイントでどちらも最低の評価でした。展示会の市民意見も多くが育鵬社の教科書採択への懸念を示すもので、支持する意見は少数でした。また、審議委員会でも育鵬社について好意的コメントを寄せた委員は1名で、評価の低さは歴然としていました。

教育委員5名中3名が育鵬社支持で、育鵬社教科書が採択された!

7月28日に開催された藤沢市教育委員会7月定例会(※2)で、5名のうち3名の委員が育鵬社の教科書を支持しました。教育長は歴史と公民のみ審議にも採決にも参加しませんでした。  前市長任命の澁谷委員(保護者枠)は、育鵬社の教科書を採択すことに懸念を表明しましたが、3対1で育鵬社が採択されました。

 

育鵬社の採択には、海老根前市長の強い意向が働いていた?

  1. 2008年第21代藤沢市長となった海老根靖典氏は、教育委員5名のうち1名を松下政経塾出身で自身の思想に近い藤崎委員とし、青年会議所出身の小澤委員、医師会出身の赤見委員、佐々木教育長の4名までを掌握していました。
  2. 728日の教育委員会で、5名のうち3名の委員が育鵬社の教科書を支持しました(教育長は歴史と公民のみ審議にも採決にも参加せず)。
  3. 前市長任命の澁谷委員(保護者枠)は、育鵬社の教科書を採択することに懸念を表明しましたが、3対1で育鵬社が採択されました。