2015.9.8市議会子ども文教常任委員会審議

 

 [ 平成27年 9月 子ども文教常任委員会-0908-01 ]

  

◎樋浦敬子 意見陳述者 おはようございます。藤沢の教科書・採択問題にとりくむ会の樋浦敬子と申します。本日は意見陳述をさせていただき、ありがとうございました。 

 私たちは、中学校の教科書採択が行われた7月の教育委員会定例会の審議の経過について、市民にわかりやすい説明をしてくださいという請願を教育委員会に提出しました。本陳情は、この請願に誠実に応えるよう議会から教育委員会に働きかけをお願いするというものです。教科書の内容にかかわるものでないことを冒頭申し上げておきたいと思います。 

 請願の項目について補足し、意見を述べたいと思います。採択の審議冒頭、教育委員長が挙げた参考資料の一つが、市内の各中学校から提出された教科用図書調査書です。社会科は全部で9つの観点での調査研究ですが、教科内容はもちろんのこと、本校の子どもの実態から見て適切かなどの項目もあり、教科の専門家であり、日々子どもたちの指導に当たっている先生方の意向を反映した資料です。ことしの採択の結果はおおむねこの調査研究の評価が高いものと一致していますが、歴史と公民では、3年間実際に使用してきた先生方の評価が大変低かった育鵬社が採択されました。先生方の低い評価を覆す委員の先生方の説明は、育鵬社の教科書が藤沢の子どもたちにふさわしいとする説明として到底納得できるものではありませんでした。

  先生方の意向が尊重されるべきことは、当日、別議題として審議された藤沢の支援学校、支援学級の教科書採択で関野委員長みずから、実際に子どもたちと向き合っている先生方が一つ一つ、一人一人のことを考えて選ばれた教科書だと思っておりますので、先生方を全面的に信頼して全ての教科書を採択したいと発言されているとおりです。国でも、ことし4月、衆議院文部科学委員会で文部科学省初等中等教育局長が先生方の研究を十分吟味すべきと答弁しています。私たちの会も、採択では先生や保護者の意向を尊重してほしいという要望書を5万4,000筆を超える賛同署名とともに提出しました。多くの方々の思いです。採択権者の責任で選ぶといっても、そもそも全教科・科目120冊もの教科書をレイマンである委員の方々が、短期間に全て読み込んで最初から選ぶというのは困難ではないでしょうか。 

 2番目の項目です。公民で小竹委員と関野委員長が育鵬社を、吉田教育長が東京書籍を推し、阪井委員と井上委員は育鵬社と東京書籍について意見を述べられました。教育長が重ねて意見を述べられた後、阪井委員、井上委員には、ぜひ責任ある御発言をいただきたかったですし、委員長がお2人の意向を確認してから結論を導く配慮が合議体としての教育委員会に必要であったと思います。 

 3番目の項目です。小竹委員は歴史審議の冒頭、3冊の教科書を拝見しましたと話を始められました。多くの傍聴者が確認しているところです。何を根拠に8冊のうち3冊についてのみごらんになったのでしょうか、問題です。ところが、公開された議事録にはこの部分がありません。違った表現になった理由を明らかにしてください。 

 教育委員の先生方は、藤沢市民を代表して教育に関する要職を担っておられるわけですから、その御判断には重大な責任が伴いますし、市民に対して大きな説明責任を持つものであると考えます。藤沢市議会におかれましては、本陳情の趣旨を御理解いただき、市民に対してわかりやすい説明をするよう教育委員会に働きかけをしていただきたくお願いを申し上げます。

 

 以上で意見陳述を終わります。

 

○東木久代 委員長 趣旨説明が終わりました。 

 この陳情に関し、陳情者の方に対する質疑はございませんか。 

 

味村耕太郎 委員 説明の中で、教員の皆さんの評価が低かった育鵬社の教科書という説明があったんですけれども、もう少しその辺を具体的にお話をいただけますか。 

 

◎樋浦敬子 意見陳述者 教科用図書調査書は、市民相談情報課の情報公開センターで市民に広く公開されております。私どもも閲覧をいたしました。社会科の場合9観点、それぞれの観点でよい教科書に丸をつけて、その理由を書くという形式です。19の中学校から調査書が上がってきますので、19掛ける9すなわち合計171の丸がつくということになっています。私どもで集計しましたところ、歴史では、1番が東京書籍の68ポイント、2番が帝国書院の67ポイント、育鵬社は3ポイントでした。公民については、1番が東京書籍で86ポイント、2番が帝国書院43ポイント、育鵬社は5ポイントでした。以上から、3年間使った先生方の評価が大変低いという表現を用いました。 

 

酒井信孝 委員 陳情理由の中に「『教科用図書調査書』を全く無視して行われました」というようなことを書かれておりますが、全く無視したのか、どのように反映されているのかということすら説明が足らないというようなことでしょうか。

 

◎樋浦敬子 意見陳述者 採択の委員会当日、教育長の御発言の中には現場の先生方というようなお言葉も出ましたし、いろいろな参考資料を参考にして御発言があったということが聞き取れましたが、他の委員の御発言の中には、たくさん委員長が挙げられた参考資料いずれについても、どれをどのようにお使いになったのか、また、それを否定する場合にはどのような根拠かということが定かではなく、議事録を拝見してもそのあたりは全く不明だというふうに思っております。

 

酒井信孝 委員 また、陳情理由の中に、「3年間育鵬社を実際に使用した先生方が、藤沢の子どもたちには他社の方がふさわしいと判断した結果が現れています」というようにあるんですが、その調査書とか、ほかの参考資料など、先生方というか、現場の教師の人たち、調査にかかわった人たちなど、そういう人たちの判断というのは、先ほど9の観点でマル・バツということもありましたし、そこに説明というか理由とかも書かれているとありますが、なぜそれがいいんだというようなことがわかる解説なり説明なりが、そういうところでしっかりと論理的にされているという認識でしょうか。

 

◎樋浦敬子 意見陳述者 調査書の適切である理由という欄がございまして、各学校の先生方がそれぞれ、その観点でどれがふさわしいか専門家として研究され、校長先生のお名前で責任を持って提出された資料だというふうに思いますので、これが説明かというふうに理解をしております。

 

酒井信孝 委員 「子どもたちのことを一番よく知る現場の先生の意見に耳を傾けるべき」とあるわけですが、一番と言える何か根拠などはありますでしょうか。レイマンコントロールというものは、文科省のホームページなどには、専門家だけの判断に偏ることなく、住民のニーズを適切に施策に反映させる仕組みであるというように説明があったりするわけです。なので、この意図からしますと、誰が一番知っているということではなくて、多様な人生を歩んできた教育委員というものがみずからの判断で採択するということに意味があるようにも思うのですが、そこら辺はどういうふうに思われますか。

 

◎樋浦敬子 意見陳述者 現在の教育委員会制度がレイマンコントロールということで、見識のおありになる、いわば教育で言えば専門家でない方々の御判断が教育行政に必要であるという形で設定されている組織であるというふうに思いますが、教科書に関しては、教科内容、あるいは日々の指導の中で、それが子どもたちの発達にとってどのような意味を持つかということを把握できるのは、やはり教員ではないかというふうに思っています。ただ、私どもの会では、先生方及び保護者の意見の反映をお願いしたいというふうに署名の要項には書かれております。保護者も教育の第一の当事者であると思っております。そういう意味では保護者の意向は、さまざまな分野から選ばれた審議委員会のメンバーである、あるいは展示会の会場の意見書を通してその意見が上げられてくるというふうに思いますが、意見書を全てこれが保護者のどの意見というふうに教育委員会が御判断になるのはなかなか厳しいかなと思っております。教科書の場合は、やはり学校の教科の指導の中の主たる教育の素材でありますから、先生方が一番知るという表現を用いさせていただきました。

 

西智 委員 教育委員会に回答を求めている3点の1点目なんですけれども、「社会科歴史・公民で現場の先生方の希望が全く反映されなかったのは何故か」というところで、先ほどの丸のついている数の少ない育鵬社が選ばれたから希望が反映されなかったと言っているんだと思うんですが、そのほかの教科書というのは丸が多かったものが採用されているということでしょうか。

 

◎樋浦敬子 意見陳述者 全ての教科、科目ではございません。中には、教育委員会が採択者の権限として御判断になった教科書もございます。ただ、極端に先生方が評価をしていない教科書が選ばれたのは歴史と公民だけです。

 

○東木久代 委員長 ほかに質疑はございませんか。

 

               (「なし」と呼ぶ者あり)

 

○東木久代 委員長 これで陳情者の方に対する質疑を終わります。

 

 陳情者の方は退席をしていただいて結構でございます。

 

               〔樋浦敬子意見陳述者退室〕

 

○東木久代 委員長 次に、この陳情に対する教育委員会の考え方について説明を求めます。また、報告①について発言を許します。

 

◎吉住 教育部長 それでは、陳情2723号藤沢市教育委員会7月定例会の審議経過について詳細な説明を求める陳情及び報告①平成28年度使用藤沢市教科用図書の採択結果についてを一括して御説明いたします。

 

 初めに、報告①平成28年度使用藤沢市教科用図書の採択結果について、資料に沿って御報告いたします。

 

 お手元の資料1ページをごらんください。

 

 本年度は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律等の法令により、中学校用教科用図書の採択がえを行うよう定められた年度となっております。また、小学校用教科用図書につきましては、同法令等により前年度と同一のものを採択することになっており、特別支援学校・特別支援学級用教科用図書につきましては、学校教育法附則第9条の規定により毎年採択がえを行っております。教科用図書の採択につきましては、平成28年度使用藤沢市教科用図書の採択方針に基づき、7月29日に開催されました藤沢市教育委員会7月定例会において採択が行われましたので、その結果について報告するものでございます。

 

 1、採択に係る経過について御説明いたします。本年5月13日、藤沢市教育委員会5月定例会において、平成28年度使用藤沢市教科用図書の採択方針の決定と採択方針に基づいた藤沢市教科用図書採択審議委員会委員の委嘱及び任命を行いました。

 

 採択方針につきましては、3ページの資料1をごらんください。藤沢市教科用図書の採択方針につきましては、国、県の通知を踏まえて、1、基本的な考え方、2、採択する教科用図書、4ページをお開きいただきまして、3、採択の日程について定めたものでございます。

 

 資料の1ページ、1の5月13日、2行目にお戻りください。藤沢市教科用図書採択審議委員会委員につきましては、市立中学校長から7名、市立小学校長から1名、特別支援学校長から1名、中学校教育研究会から3名、小学校教育研究会から1名、保護者から3名の計16名で構成されております。5月26日から各中学校において教科用図書見本本の展示を行い、保護者及び市民に意見をいただき、平成28年度使用教科用図書意見書としてまとめました。また、各中学校校長に自校の教員による各種目ごとの教科用図書の調査研究をさせ、平成28年度使用教科用図書調査書として教育委員会に提出させました。6月1日、第1回教科用図書採択審議委員会において、教育委員会委員長から審議委員会委員長へ平成28年度使用藤沢市教科用図書に関する審議について諮問をいたしました。6月2日に藤沢市教科用図書採択審議委員会規則にのっとり調査員を任命し、各種目の教科用図書の内容等について調査研究をさせました。調査員の作業は6月2日から6月22日までの間に各種目3回実施し、6月26日に調査研究した結果を審議委員会へ提出させました。また、6月8日から6月19日までの間、藤沢郵便局3階コミュニティールームにおきまして教科用図書見本本の展示を行いました。市民や保護者に広く見ていただくとともに、記載していただいた意見、感想を平成28年度使用教科用図書意見書としてまとめ、採択の資料といたしました。7月1日の第2回教科用図書採択審議委員会では、中学校教科用図書の審議が行われました。7月13日の第3回教科用図書採択審議委員会では、特別支援学校・特別支援学級用教科用図書の審議及び答申方法の決定が行われ、7月22日に平成28年度使用藤沢市教科用図書に関する審議結果について、審議委員長から教育委員長へ答申が行われました。

 

 2ページをごらんください。7月29日に公開の藤沢市教育委員会7月定例会において、教科用図書の採択を行いました。採択に当たりましては、5人の教育委員が4つの観点を軸として協議を行いました。協議のための4つの観点といたしましては、1、学習指導要領との関連、2、内容、3、構成、分量、装丁、表記・表現、4、本市の生徒の実態や地域等の特性との関連でございます。2、採択のために参考にした資料についてでございます。教科用図書採択の際、教育委員は学習指導要領を初め、記載のとおり各委員会等から出されております資料を参考にしております。

 

 3、採択された教科用図書についてでございます。まず、(1)平成28年度使用藤沢市立中学校用教科用図書につきましては、5ページの資料2をごらんください。今回採択された種目のうち、国語、書写、社会(地理的分野)、理科、技術・家庭(技術分野)、英語の6種目については、前回の採択から発行者が変更となり、それ以外の種目については同一の発行者となりました。(2)平成28年度使用藤沢市立小学校用教科用図書につきましては、6ページの資料3をごらんください。小学校用教科用図書につきましては、法令により平成26年度採択と同一のものを採択いたしました。(3)平成28年度使用藤沢市立特別支援学校及び小学校若しくは中学校の特別支援学級用教科用図書(種目別)につきましては、7ページからの資料4をごらんください。特別支援学校及び特別支援学級の教科用図書が採択された流れについて御説明いたします。特別支援学校及び特別支援学級の児童生徒につきましては、学校教育法附則第9条の規定により一般図書を教科用図書として採択することが可能なため、毎年採択がえを行っており、その資料として白浜養護学校と特別支援学級担任が、児童生徒一人一人にふさわしい教科用図書として調査研究したものを調査書として教育委員会に提出させました。第3回教科用図書採択審議委員会では、調査書をもとに審議を行い、その結果を教育委員長へ答申し、藤沢市教育委員会7月定例会において採択いたしました。

 

 以上で平成28年度使用藤沢市教科用図書の採択結果についての報告を終わります。

 

 次に、陳情2723号藤沢市教育委員会7月定例会の審議経過について詳細な説明を求める陳情につきまして御説明させていただきます。

 

 この陳情の趣旨は、藤沢市教育委員会7月定例会における議案、平成28年度使用藤沢市立中学校用教科用図書の採択についての社会(歴史的分野)及び(公民的分野)の審議経過及び結論の導き方について不明な点が多々あり、教育委員会に対し詳細な説明を求める請願を提出したので、教育委員会が請願について十分審議をし、ホームページなどを通し市民に対しわかりやすい説明を行うよう、市議会から市教育委員会へ働きかけをすることを求めるものでございます。

 

 まず、教科書採択においては、教育委員会委員は全ての教科書見本の内容を研究するとともに、神奈川県教育委員会より報告されました中学校、中等教育学校の前期課程用教科用図書調査研究の結果、藤沢市教科用図書採択審議委員会のもとに置かれた調査員によって作成された中学校用調査資料、各中学校長が自校の教員に調査研究をさせて提出された教科用図書調査書、教科書見本を各中学校及び藤沢郵便局に展示した際の市民、保護者の意見、感想を簿冊とした教科用図書意見書など、さまざまな資料を研究したものでございます。また、藤沢市教科用図書採択審議委員会を傍聴し、同委員会の答申を参考にさらに調査研究を進め、各委員の権限と責任において採択を行ったものでございます。

 

 次に、市教育委員会に対する請願につきましては、藤沢市教育委員会7月定例会の審議経過について詳細な説明を求める請願を9月1日付で受理し、9月16日に開催する公開の教育委員会会議に付議を予定しております。その会議録につきましては、従来どおりホームページに掲載し公開してまいります。

 

 以上で陳情2723号藤沢市教育委員会7月定例会の審議経過について詳細な説明を求める陳情についての説明を終わります。よろしくお願いいたします。

 

○東木久代 委員長 説明及び報告が終わりました。

 

 これから、陳情及び報告①についての質疑を行います。質疑はございませんか。

 

味村耕太郎 委員 ことし、4月7日に文科省が教科書採択についての通知を出していると思います。まず、その中身がどんなものだったのかお示しをいただければと思います。

 

◎亀本 教育指導課指導主事 文部科学省からの「平成28年度使用教科書の採択について(通知)」には、教科書の採択は、教科書が教科の主たる教材として学校教育において重要な役割を果たしていることに鑑み、教育委員会その他の採択権者の判断と責任により、綿密な調査研究に基づき、適切に行われる必要がありますと書かれております。具体的な内容といたしましては、小中学校、特別支援教育関係等で採択される教科書に関することや、教科書採択の公正確保という点において教科書発行者による宣伝行為の禁止、採択権者の権限と責任において公正かつ適正な採択を行うこと、適切な採択環境の確保などについて書かれております。また、採択方法の改善ということで、教科書見本の送付と活用について、教科書の調査研究の充実、採択に関する情報の公表等について記載されております。

 

味村耕太郎 委員 この国の通知では、教育委員会の判断と責任が強調されております。同時に、綿密な調査研究に基づき、教科書採択が行われる必要があると指摘をしています。基づきというのは、厳密な調査研究なしに行うなという強い表現でありますが、ここで言う綿密な調査研究というのは何を指しているのでしょうか、教えてください。

 

◎亀本 教育指導課指導主事 教科書の採択に当たっては、十分な調査研究に基づき決定する必要があることから、教科書見本本や国、県、市のさまざまな資料等をもとに、教育委員がみずからの職責において調査研究を行うことでございます。

 

味村耕太郎 委員 国の通知などでは調査員の研究ということがされているんですが、ここで言っている調査員の中心というのは教員でありまして、この調査研究の重視に教科書採択の特質があるというふうに思います。教科書採択はその地域の学校に通う子どもたちの学習にとって、最適な教科書を選ぶための教育的な特質であるということであります。国の10カ国調査では、アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、ドイツ、フィンランド、韓国、台湾の8カ国で、教科書の採択権は学校あるいは教師にあります。同じ調査で教育行政が採択権を握っているのは日本と中国のみであります。教科書採択において教員の役割というのは大変重要であると考えますが、そこで、ユネスコの教員の地位に関する勧告の第61項は、教科書採択に当たっての教員の役割についてどのように位置づけていますか、教えてください。

 

◎亀本 教育指導課指導主事 1966年にユネスコの総会で採択された教員の地位に関する勧告第61項にはこのように書かれております。「教員は、職責の遂行にあたって学問の自由を享受するものとする。教員は、生徒に最も適した教具及び教授法を判断する資格を特に有しているので、教材の選択及び使用、教科書の選択並びに教育方法の適用にあたって、承認された計画の枠内で、かつ、教育当局の援助を得て、主要な役割が与えられるものとする」という位置づけになっております。

 

味村耕太郎 委員 世界のルールも教員の役割を重視しているということが確認できました。文科省の通知で教員に役割が与えられているという根本には、教育は子どもの権利に応えるためのものであるという憲法の立場があります。

 

 それでは次に、配られた資料にもありますが、本市の教科書採択方針について伺っていきます。基本的な考え方の(1)国、県、市の資料等を踏まえて採択すると言っているわけですが、ここで言う踏まえてとは具体的に何を言っているのでしょうか。

 

◎松原 教育指導課主幹 まず、国、県、市の資料につきましては、お手元の資料の2ページにもお示しをさせていただいているわけでございますけれども、国からは学習指導要領、県からは教科用図書の調査研究の結果、市の資料といたしましては、各教科の教員が調査員として研究をいたしました教科用図書調査資料、さらに各学校において調査研究を行いました教科用図書の調査書ですとか、保護者、市民の方からいただきました意見書、これらを参考にして採択審議委員会におきまして審議を行っておりますので、その結果を答申としてまとめてございます。これらの資料を参考にして、教育委員は総合的に判断をしていくという意味合いのものでございます。

 

味村耕太郎 委員 7月29日に行われた教育委員会7月定例会の会議録によりますと、ある委員は育鵬社の記述について、「日本の歴史が世界の歴史に比べて多いという考え方もあるかもしれませんが、自国のことを中心に学ぶことがあってよろしいのではないか」という発言がありました。そこで確認をしたいのですが、中学校学習指導要領の第2章第2節社会の1、目標の(3)は何と述べていますかお示しください。

 

◎坪谷 教育指導課指導主事 中学校学習指導要領における歴史的分野の目標(3)でございますが、歴史に見られる国際関係や文化交流のあらましを理解させ、我が国と諸外国の歴史や文化が相互に深くかかわっていることを考えさせるとともに、他民族の文化、生活などに関心を持たせ、国際協調の精神を養うとされております。

 

味村耕太郎 委員 次に、公民についてでありますが、これも7月の定例会の会議録からでありますが、ある委員は「なぜ『公民』を学ぶのか?」の記述について、公の一員として考え、公のために行動できる人と公民の意味をわかりやすく説明するところから導入をされているという点に言及をしておりました。そこでまた、改めての確認でありますが、公民的分野の1、目標(1)をお示しください。

 

◎坪谷 教育指導課指導主事 公民的分野の目標(1)でございますが、個人の尊厳と人権の尊重の意義、特に自由・権利と責任・義務の関係を広い視野から正しく認識させ、民主主義に関する理解を深めるとともに、国民主権を担う公民として必要な基礎的教養を培うとされております。

 

味村耕太郎 委員 つまり、国民主権の担い手を育てることに重きが置かれているというわけであります。これは教育基本法の要請でもありまして、同法はその第1条で「教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない」とうたっております。教育委員の皆さんの発言を見ていきますと、今述べてきたような学習指導要領の原則を踏まえての発言だったとは到底言えないと私は考えますが、育鵬社の歴史の教科書の記述にあるなでしこ日本史や人物紹介が539人に上る点について、図書調査資料や採択審議委員会の答申はどの程度言及されているんでしょうか。

 

◎坪谷 教育指導課指導主事 なでしこ日本史と539の人物紹介についてでございますが、県の中学校、中等教育学校の前期課程用教科用図書調査研究の結果におきまして、具体的に記載をされております。市の中学校用調査資料では、多くの歴史上の人物や女性の活躍も取り上げることにより、先人たちの生き方や遺産を通して、個から社会・歴史全体の営みが捉えられるようになっていると記載されております。また、採択審議委員会の場では、なでしこ日本史に限ったものではございませんが、多彩なコラムが設けられていることで、我が国の歴史や伝統文化などを複眼的に見ていくことが意識されている教科書であるというような発言がされました。

 

味村耕太郎 委員 確認してきましたように、本市の教科書採択の基本的な考え方は、藤沢市教科書採択審議委員会の答申等を踏まえるとともに、児童生徒の実態や地域の特性を考慮して、公正かつ適正な採択を行うというふうにしています。陳情者の方からの指摘もありましたが、各中学校から出された教科用図書調査書の集計結果における育鵬社版の教科書に対する学校現場の評価は低く、審議委員会の答申内容も育鵬社版の教科書への言及、評価も多くはありませんでした。今回の採択結果は、本市の基本的な考え方にも反するものだったと言わざるを得ません。教育委員会は今回の採択結果について、教員や保護者、市民の意見が十分に担保されているとお考えなんでしょうか。また、教育委員会は今回の採択に至ったことについて、教員や保護者、市民に対してしっかりと説明責任を果たすべきと考えますが、どのように受けとめていますでしょうか。

 

◎小木曽 教育部参事 まず、1点目の現場、保護者、市民の意見が十分に担保されているかというような御質問でございますけれども、これにつきましては先ほどからこちらのほうでお答えさせていただいているように、採択につきましては5名の教育委員が、採択審議委員会の答申、各中学校からの教科用図書の調査書、それから教科書見本本展示会における市民や保護者からの意見書等、さまざまな資料を参考にして調査研究を行っているというところで、教育委員は内容を把握した上で審議しているというふうに考えております。

 

 それから、2点目の採択結果を市民に対して説明をというところでございますけれども、採択結果につきましては、教育委員会会議の審議の過程について、教育委員会7月定例会の会議録を既にホームページのほうにアップしておりますので、そちらを御確認いただければと思っております。

 

栗原義夫 委員 市議会は、市民からいろんな請願とか陳情というのが出されるわけでございますけれども、その審議というのは我々委員は承知しているはずなんですが、教育委員会に対する請願または陳情が提出された場合、一般的にはどのような取り扱いをなさるのか教えてください。

 

◎西山 教育総務課主幹 お答えいたします。教育委員会に提出されました請願につきましては、藤沢市教育委員会会議規則及び藤沢市教育委員会請願等取扱要綱に基づきまして、請願書を受理したときは、通常予算など議会の議決を経るべき内容で教育委員会のみで判断することが困難な場合など、要綱の第4条第1項に掲げる付議しない取り扱いとするという事項に該当する場合を除きましては、教育委員会会議に付議をしなければならないというふうになってございます。付議されました請願につきましては、教育委員会会議において審議を行い、内容について教育委員会として賛同する場合は採択、賛同しない場合は不採択として取り扱っております。

 

栗原義夫 委員 そうしますと、今回教育委員会に対して提出された請願の内容について先ほど説明がありましたけれども、もう一度確認のために、どのように把握なさっているのかお聞かせ願いたいと思います。

 

◎西山 教育総務課主幹 今回教育委員会に対しまして提出された請願の内容についてでございますが、教育委員会7月定例会における議案、平成28年度使用藤沢市立中学校用教科用図書の採択についての社会(歴史的分野)及び(公民的分野)の審議経過、結論の導き方について不明な点が多々あることから、教育委員会で十分審議をし、ホームページ掲載などを通して広く市民に対しわかりやすい説明を求めるというものでございます。

 

栗原義夫 委員 それでは、今回教育委員会に提出されました請願の結果、取り扱いについて、改めてどのような形で市民に周知するのかお知らせ願いたいと思います。

 

◎神尾〔友〕 教育部参事 今回、9月1日付で教育委員会に対して提出されました請願につきましては、今月9月16日に開催いたします公開の教育委員会会議に付議をいたしまして、教育委員会委員が審議を行った上で採択、不採択を決定いたします。その会議録につきましては、従来どおりホームページのほうで掲載して公開をしてまいります。

 

浜元輝喜 委員 1点、お願いします。先ほど陳述者の方から説明がありましたとおり、現場の先生方の意見が反映されていないということにつきまして、教育委員会としてはどのように捉えられているかお聞かせください。

 

◎窪島 教育指導課指導主事 現場の先生方の意見というふうなことでございますけれども、調査書の中におきましては、先ほどの中学校の歴史あるいは公民というふうな教科においては、丸印が少なかったことは確かかなと思います。ただ、教育委員につきましては、学校の現場の先生の意見だけではなく、市民の方々の御意見であるとか、それから教育委員の方々が実際に教科書を手にとってごらんになられて、そして藤沢の子どもたちにとってはこの教科書がふさわしいのではないかというふうなこと、社会だけではなく、さまざまな教科書においてもごらんになっているので、学校の先生の御意見だけではなく全体的な目でごらんになった結果であろうと考えております。

 

酒井信孝 委員 採択のために参考にした資料というのが、10個ぐらい並んでここに書かれているわけなんですが、そういうものを教育委員に提示というか、資料として参考にしてくださいというふうに渡すときには、その中身について各専門家なり、それをつくった人なり、そういう人たちにレクチャーしてもらうとか、内容をしっかり理解してもらうための何かしらの努力というものを教育委員会としてはしているものなんでしょうか。

 

◎坪谷 教育指導課指導主事 特に、教育委員会事務局といたしましてレクチャー等をしておるものではございません。そのものを教育委員さんに速やかにお渡ししているところでございます。

 

酒井信孝 委員 教育委員会の役割というものが、文科省のホームページなどには教育委員会制度の意義というので3つ挙げられていて、政治的中立性の確保、継続性、安定性の確保、地域住民の意向の反映とあるわけなんですが、地域住民の意向の反映というところで展示会をやって、そこで書かれたアンケートなどをまとめて、使用教科用図書意見書というものを教育委員にも参考にしてくださいという形で渡されてはいると思うんですが、ただ単に情報公開センターなどで公開されているような束ねたものが渡っているだけなのか、例えば統計的な分析とか、中身をちゃんと、どういう傾向があったり、何が読み取れるんだろうとかということを専門的に誰かしらに検討してもらって、そういうものを委員のほうにも内容をちゃんとつかんでもらうためにそれを参考にするとか、そういうような努力というか、工夫などということはされているんでしょうか。結構意見はいっぱいあると思うんですけれども、それをぱっと読んでもなかなか理解しにくいというか、把握しにくいというところもあるかとは思うんですが、そういうことは何かやられていたりはするんでしょうか。

 

◎坪谷 教育指導課指導主事 保護者、市民の皆様からいただきました意見書につきましては、第2回の採択審議委員会までに208通寄せられて、非常に多くの御意見だったんですが、1冊の簿冊にまとめまして、事務局といたしましては、それを教育委員さんにお示ししたというものでございます。特に御説明等はしておりません。

 

酒井信孝 委員 あと、地域の住民の意向の反映というところで、今回の陳情をされている方たちは署名なども出されているということではあるんですが、そういう署名が出された際に受け取るだけじゃなくて、教育委員がその人たちにちゃんと面会してその意向を、どういうことでこういうのが出されたのかというコミュニケーションをとるようなことというのはしているものでしょうか。

 

◎神尾〔友〕 教育部参事 今回の先ほどの5万4,000筆の署名につきまして、私は当日受け取った側の立場の人間でございます。その署名が当然のごとく教育委員の方に受け取って、提出者からいただいた御意見等をあわせてその署名とお伝えをしているところでございます。

 

酒井信孝 委員 今この陳情の趣旨というものは、教育委員会も公開されていて、それを傍聴しても、どういういきさつで決定されたかというのが明確に理解できないということで、こういうのが出てきていると思うんですが、それは1つには、市民と教育委員会なり、市とのコミュニケーションがうまくいっていないということのあらわれではあると思うんですけれども、何かそういうところに対して改善していこうとかありますでしょうか。

 

◎小木曽 教育部参事 今、委員がおっしゃられているのは、渡すときとかになかなか説明がうまく伝わっていないんじゃないかという御心配だったとは思うんですけれども、教育委員の方々につきましては、採択審議委員会の特別傍聴ということでそこに入ってもらって、審議の様子を全て聞いてもらっています。その採択審議委員会の審議につきましても、市民の方々や中学校からの調査書等を参考にした発言等もございますので、そこの中でうまく教育委員の方にはその内容等も伝わっているというふうに捉えております。

 

酒井信孝 委員 先ほどの答弁の中で、教育委員は全ての教科書を検討しているというようなお答えがありましたけれども、その検討しているという事実ですかね。こういうふうに検討していますよというような報告書などそういうものを、ちゃんと仕事をしているよという形でどこかしらに提示したり、市民にもわかりやすく、例えば記者会見するとか、そういう形で何かやられるということはしているのか、そういうことがないならばそういうことも必要じゃないかと思うんですが、どうでしょうか。

 

◎小木曽 教育部参事 教育委員の方々が資料を全て見ている経過等を公表しているかということですが、そういうことは特にはしておりません。教科書採択の審議方針の中に、静ひつな環境の中で採択する。静ひつな環境というのは、やはり周りの環境に左右されないというところでございますので、その辺のところを教育委員の方々も考慮して、資料研究、そして採択という形で行っているというふうに考えております。

 

酒井信孝 委員 この陳情の中で、小竹委員の発言についてあったであろうものが議事録にないというような点が書かれているんですが、その事実関係というところはどのように把握しているのか教えてください。

 

◎西山 教育総務課主幹 議事録の関係と思いますのでお答えさせていただきます。今回の陳情項目においても記載されております「委員より、歴史の審議対象8冊のうち3冊だけを拝見した旨の発言があった」ということかと思いますけれども、御指摘のように、会議当日、これは委員のほうから発行社について述べる際に、A社、B社、C社を拝見しましたとの発言があったものです。各委員は各教科において、全ての教科書見本の内容を研究しておりますので、御指摘のように3冊だけしか見ていないのではないかということの誤解を避けるために、委員の発言の趣旨に沿うような形で、会議録ではA社、B社、C社についてというふうに修正をされているものでございます。

 

酒井信孝 委員 議事録というものは、そのように発言の意図と違うように読み取れる部分があれば、それは修正することができるという性質のものなんでしょうか。

 

◎神尾〔友〕 教育部参事 藤沢市教育委員会会議規則の第16条におきまして、会議録に記載しなければならない事項が定められております。その中の同条第5号におきまして、議事の大要、いわゆる要点とか、あらましを記載することになっておりますことから、事務局職員が今回の会議録の中身を確認した後、教育委員会委員に配付して、それぞれの委員に発言内容について御確認をいただいた後、先ほども答弁しましたとおり発言の趣旨がわかりにくい箇所であるとか、誤解を生じかねない箇所については、議事録をごらんになられた方がより御理解をいただけるように、委員が必要に応じて修正する場合もございますが、その修正の範囲に当たりましては発言の趣旨などが変わってしまうことがないよう、事務局職員と委員の間で調整を行っているというようなところでございます。

 

竹村雅夫 委員 ここの議会でこの教科書採択の問題について取り上げるというのは、個別の教科書のよい悪いを議論すべきものではないと私は理解しています。それはあくまで独立した教育委員会の責任であって、政治がその中身に踏み込むべきではない。あくまでここは、その採択が公正公平であったかどうか、そして、市民に十分説明責任を果たせるものであったかどうか、そこの観点での議論なのだろうと思うんです。その観点からして、ちょっと改めて質問をさせていただきたいと思うんですけれども、この採択の公正公平ということに関して報告の中ではちょっと読み取れない点が1点あるんですね。というのは、教科書採択の時期が近づくと、学校現場の教職員に対しては非常に厳しい指導があります。職員会議が開かれて、例えば学校長から特定の教科書会社、あるいはその関係の者とは接触を厳に慎みなさいと、そして、例えば学校の入り口には、時節柄、教科書関係の方とはお会いできませんというふうなことが実は明確に出されます。そのくらい非常に公正公平というのが現場には求められるわけですよね。ところが、この中を見るとそういった記述がないわけです。ないからないということではないと思いますが、当然教育委員の皆さんについても、同じような公正公平が求められていると考えてよろしいでしょうか。

 

◎坪谷 教育指導課指導主事 教科書会社や関係団体との接触についてでございますが、平成28年度使用藤沢市教科用図書の採択方針の基本的な考え方(2)において、静ひつな採択環境を確保するとありますし、あと文部科学省の通知におきましても、教科用図書の採択に当たっては、外部からの働きかけに左右されることなく、採択権者の権限と責任において公正かつ適正な採択を行うこととされております。そのとおり、教育委員におかれましても同様でございます。

 

竹村雅夫 委員 教育委員会の独立ということを考えれば、本来は議会から丁寧に説明しなさいと言われるまでもなく、自主的に市民の皆さんに説明責任を果たしていただくというのが筋だろうと思うんですね。ただ、その中において、やはり非常に重要なポイントとして、私も実はいろんな市民の方からここはどうなんだろうというふうに伺ったのは、当日の発言と議事録が違っている点なんです。今、説明はありましたけれども、果たしてその説明だけで十分納得していただけるのか、説明責任が果たせるのか、ちょっと私は今の時点では何とも言えないと思っています。やはり、議事録というのは非常に重要なものですから、ましてや教科書をどこまできちんと調査したのかという根幹にかかわる部分の発言ですよね。当日は約100名の市民の方が傍聴していました。その方たちから次々に、この議事録が公になったときに違っていると指摘を受けています。ですから、この点については従来の説明だけでは私は足りないと思っていますので、このことについては教育委員会で説明の責任を果たしていただきたいと思っていますけれども、ただ、私どもも、今回このような事実を議会に対して指摘をいただいていますので、議員としても事実関係の確認をぜひしてみたいと思うんです。ですから、恐らく当日のメディア媒体もあるでしょうし、あるいは速記録もあるのかな、そういったものがありましたら議会に対して資料提示をお願いしたいと思うんですが、委員長、お取り計らいをいただけますでしょうか。

 

○東木久代 委員長 今、竹村委員より資料の提示の御提案がございましたけれども、いかがでしょうか。

 

◎神尾〔友〕 教育部参事 今お話がございましたとおり、会議の録音データ、それと速記録はございますので、それは後ほど資料提供させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 

○東木久代 委員長 休憩いたします。 

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                午前1102分 休憩

 

                午前1103分 再開

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○東木久代 委員長 再開いたします。

  それでは、質疑を終了する前に、これより議員間討議に入ります。

  どなたか御発言をお願いいたします。

 

北橋節男 委員 先ほどから多くの御意見を賜りまして、本当に勉強になります。今ここで考えていることは中学校の教科書ということなので、中学生のことを一番に考えてもらいたいということ、それから、きょうの議題は教科書の内容ではなくて決め方ということ、これからは先ほどおっしゃったように資料の提出もありますけれども、きょうのこの陳情に関しては十分に時間をなされていると。教育委員が総合的にバランスを持って決めたと思っておりますので、自民クラブ藤沢、北橋としてはこの意見は不了承としたいと思っています。お願いします。

 

○東木久代 委員長 御意見ということでよろしいでしょうか。

 

北橋節男 委員 意見です。

 

○東木久代 委員長 それに対して御発言をお願いいたします。

 

酒井信孝 委員 十分になされていると我々が思うかどうかというよりも、市民の人からこういうものが上がってきているのだから、それを私たちとしては受けとめていくということが求められているのではないかと思うんですが、要は実際に――今回出ているものというのは、要は陳情されている人だけというよりも、きょうもいろいろな方が来られていますけれども、いろんな人たちから説明不足というか、余り理解ができないような審議過程であったというようなことで多分出ているというところではあると思うんです。我々が、もうそれでしっかりと審議がされているといっても、そこで出された方たちが納得するようなことを今この中で説明ができるのかといえばできないわけですから、やはり教育委員自体にその説明を求める、それが公職である教育委員の市民から出されたものに応えるという責任を果たしていくということでもあると思いますので、私たち議会としては、しっかりとそこを中継ぎするというか、ちゃんとしていったほうがいいんではないかと私は思います。

 

○東木久代 委員長 ほかに意見はございませんか。

 

               (「なし」と呼ぶ者あり)

 

○東木久代 委員長 それでは、意見がないようですので、議員間討議を終わります。

 

 休憩いたします。

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                 午前1105分 休憩

 

                午前1106分 再開

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○東木久代 委員長 再開いたします。

  これで質疑を終わります。

  これから討論を行います。討論はありませんか。

 

酒井信孝 委員 教育委員に限らなくて、公的な役割を担っている者というのは、その果たしている役割について市民に説明する責務があると私は思います。市民の納得と協力がなければ、その役割を果たすことはできないわけですから、市民が納得できるように、今回提起されている疑問についてもしっかり答えるように教育委員に働きかけていくということが必要だと私は思います。教育委員会がしっかりと説明するよう市議会からも働きかけてほしいという本陳情に私は賛成いたします。

 

味村耕太郎 委員 陳情2723号に対する日本共産党藤沢市議会議員団の討論を行います。

 

 本市で採択をされた育鵬社版の歴史、公民の中学校教科書は、日本軍国主義による侵略戦争であったアジア太平洋戦争を自存自衛、アジア解放のためだったと述べ、日本国憲法の掲げる平和主義、基本的人権、民主主義の諸原則をゆがめて描く教科書であります。そもそも、日本の侵略戦争と植民地支配の事実を子どもたちに教えていくことが政府の公式の立場として確立していることは、1982年の歴史教科書に関する宮沢内閣官房長官談話、1995年の村山談話に示されています。本市の教科書採択の基本的な考え方は、藤沢市教科書採択審議委員会の答申等を踏まえるとともに、児童生徒の実態や地域の特性を考慮して、公正かつ適正な採択を行うとしています。各中学校から出された教科用図書調査書の集計結果における育鵬社版の教科書に対する学校現場の評価は低く、審議委員会の答申内容も育鵬社版の教科書への言及、評価も多くありませんでした。それにもかかわらず、育鵬社版の歴史、公民の教科書が採択されたことは、本市の採択方針に反すると言わざるを得ません。教育委員会は学校現場の意見を無視し、歴史、公民の分野で育鵬社版の教科書用図書を採択した理由を市民に対し十分に説明する義務があると考えます。よって、陳情2723号は趣旨了承といたします。

 

○東木久代 委員長 これで討論を終わります。

 

 採決いたします。陳情2723号は趣旨了承とすることに賛成の方の挙手を求めます。

 

                 〔賛成者挙手〕

 

○東木久代 委員長 挙手4人。可否同数ですので、委員会条例第49条の規定により委員長が裁決いたします。

 

 委員長は陳情2723号については趣旨不了承と裁決いたします。

 

 次に、報告①に対する意見はありませんか。

 

               (「なし」と呼ぶ者あり)

 

○東木久代 委員長 これで意見を終わります。

 

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※注記(とりくむ会)

採決:可否同数(4対4)

 賛成:竹村委員・酒井委員・味村委員・西委員

 反対:浜元委員・栗原委員・北村委員・平川委員

 東木委員長判断により:不採択