藤沢市教育委員会 2015.7.29教科書採択記録

午後2時05分 開会

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関野委員長 事務局の説明が終わりました。平成28年度使用中学校用教科用図書の採択につきましては、法令により義務教育教科用図書は、基本的には採択替えを行った時点より、4年間は同じ発行者のものを採択することになっています。中学校の教科用図書の採択につきましては、本年度は平成28年度から中学校において使用される教科用図書について、教科書目録の中から1種目ごと1発行業者のものを協議の上、採択することとなります。 藤沢市教科用図書採択審議委員会からも、1種目ごと1発行業者のものを審議した結果が答申されています。

それでは、これから平成28年度使用中学校用教科用図書の協議をしてまいります。協議に入ります前に、私たち教育委員が採択に当たり、調査 研究をするのに参考とした資料をご説明いたします。

はじめに、「中学校学習指導要領」です。これは文部科学省が作成し、学校の教育課程を編成する上で、また、教科書編集の根幹に当たる資料です。

次に、「教科書編修趣意書」です。これは文部科学省が教科書発行者に作成を指示したもので、各種目の教科書を編修するに当たっての趣意をまとめたものです。

次に、県より報告されました「中学校、中等教育学校の前期課程用教科用図書調査研究の結果」です。これは県の教科書選定審議委員会のもとに置かれた専門調査委員会が調査研究した結果で、教科書選定審議委員会 を経まして、県教育委員会から本市教育委員会へと送付されたものです。

次に、本市教科用図書採択審議委員会のもとに置かれた調査員によって作成された「中学校用(平成 28・29・30・31 年度用)調査資料」です。これは県の通知及び審議委員会の方針を受けまして、学校教育に十分な経 験と知識を有する者のうちから、教育長が調査員として各種目3~5名を任命し、調査研究をした結果をまとめたものです。

次に、「平成 28 年度使用教科用図書調査書」です。これは各中学校長が自校の教師に調査研究させたもので、各中学校長の責任のもと、県の調査研究の観点に沿って、 9~10 項目の観点ごとに調査研究したものです。

次に、「平成28 年度使用教科用図書意見書」です。これは保護者及び市民向けに、各中学校及び藤沢郵便局において、教科書展示会を開催した際 にいただいたご意見、ご感想です。

また、要望書についても委員それぞれが目を通しております。 私たち教育委員は、教科書見本の内容を研究するとともに、ただいま説明いたしました資料の研究、藤沢市教科用図書採択審議委員会を傍聴し、同委員会の答申を参考に調査研究をすすめてまいりました。参考とした資料及び内容は以上でございます。

それでは、協議に入ります。協議方法について、私から提案させていただきます。協議方法については、私たちが調査・研究する際に使用した資料の中の、県教育委員会から報告された「中学校、中等教育学校の前期課程用 教科用図書調査研究の結果」の5観点、中学校長による「平成 28 年度使用教科用図書調査書」の9~10 観点、市の調査員がまとめた「中学校用(平成 28・29・30・31 年度用)調査資料」の3観点、を参考にし、加えて、藤沢市教科用図書採択審議委員会の答申で審議された観点別のご意見を踏まえ、この場では4つの観点、1.学習指導要領との関連(編集 の趣旨と工夫)、2.内容(教科・種目別の観点)、3.構成・分量・装丁、 表記・表現、4.本市の生徒の実態や地域等の特性との関連、を軸として、 それぞれの観点について協議し、種目ごとに意見を出し合い、最終的に合議により決定するということでいかがでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

それでは、そのように進めさせていただきます。

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【 社会 歴史的分野 】

関野委員長  続きまして、社会(歴史的分野)についてです。発行業者は8者、東京 書籍、教育出版、清水書院、帝国書院、日本文教出版、自由社、育鵬社、 学び舎です。ご意見をお願いいたします。 

小竹委員   私は東京書籍、帝国書院、育鵬社についてですが(※)、どの教科書も明治以降についての近代史に多くの紙面を使っており、内容的にも類似している部分が多かったと思います。また、資料とか写真、コラムに工夫がされておりまして、東京書籍、帝国書院は全体的に日本史と世界史のバランスがよく、また、最近の政治の流れまで書かれていると思いました。東京書籍にはページの下方に年表が書かれており、今、どの時代を学んでいるのかを理解しやすいと思いました。帝国書院と育鵬社では、図、写真が東京書 籍に比べて主観的ではありますけれども、図、写真がより見やすくなっていると思いました。育鵬社では日本史、世界史の比率を見ると、やや日本 史中心の傾向を感じますが、その分で明治以降の史実をよく記載してあると思います。日本の歴史が世界の歴史に比べて多いという考え方もあるかもしれませんが、自国のことを中心に学ぶということはあってよろしいのではないかと思います。

また、人物紹介の点で539と多くの人物紹介がされておりまして、その人物紹介の仕方も「なでしこ日本史」という女性の方たちや外国人から見た日本ということで、いろいろ外国の方たち、それから日露戦争の舞台裏 とか、いろいろなコラムで生徒たちが歴史に興味を持つ切り口を多くつくっていただいているのではないかと思いました。最後の方に2020 年の東京オリンピックの開催の記事が少し載っていたのが印象的でした。以上の点から育鵬社がよろしいかと思いました。

※実際の発言:傍聴者が何人も確認しています。

「私は、東京書籍、帝国書院、育鵬社について拝見させていただきました。」

井上委員  歴史につきましては、我が国の歴史の大きな流れを理解するということは大変重要だろうと思います。そして歴史について考察する力や説明する 力の育成、あるいはさまざまな伝統や文化の学習、そして我が国の歴史の 背景となる世界史の扱いなど、総合的に判断した場合、東京書籍ですが、 現在、藤沢市で使用されている育鵬社につきましても、文部科学省の新学 習指導要領に忠実に沿っており、古い伝統や文化を継承させようとする特 徴のある教科書だと思います。そして社会の歴史的分野におきます学習のポイントとしては、近現代の学習の一層の充実、そして歴史について考察 する力や説明する力の育成、そしてさまざまな伝統や文化の学習の重視、そういったところを検討した場合に、私は現在使用されている育鵬社をもう一回使用してもいいのかなと考えております。

吉田委員  歴史の学習ですけれども、大きな目的はやはり歴史の流れを理解して、これからは生きる自分の役割を認識して、未来への生き方を考えることに あると思います。そういった意味で、私は先ほどから申しておりますように、学び方が学べる教科書というのに着目しております。

まず、帝国書院ですけれども、歴史のとらえ方、学び方、調べ方について 10 ページにわたって掲載していて、学び方がわかるという点では非常 によいと思います。「タイムトラベル」としてステップが明確に示されているところも評価に値します。「学習の前にながめてみよう」、「学習をしながら確認しよう」、「学習を振り返ろう」では、改めて、はじめの学びの 検証を行うようにしているという点においても、繰り返し学習をしていく意義を感じさせます。「トライアル歴史」の「やってみよう」コーナーで、資料をもとにみずから考え、謎を解く、そのような仕組みになっているところも高く評価をしています。技術を磨くことにつながっていくと思うからです。さらに歴史を深める意味において、「歴史を探ろう」につなげているところも歴史を学ぶ意義を非常に感じるところです。また、章末に「説明しよう」というコーナーがあり、そこでパターンを示して、どの題材を選んでもいいようになっているという点においては、多様性があり、絵図と文 字のバランスも非常によくとれている教科書だと思いました。

また、東京書籍ですけれども、こちらも歴史の学び方を非常によく例示をしていて、流れ全体にポイントを置いて、日本史、世界史のバランスがとてもよいと感じました。思い出しながらまとめていくように設定がなされておりますし、調べ学習については、テーマや調べること、考察の仕方 を具体的に提示して非常にポイントがわかりやすいと感じました。また、丁寧に調べ学習について例示をしており、調査の達人として、図書やインターネットの使い方についても示しているところもございました。

課題学習については、「歴史にアクセス」や下段のところに「確認」というのがありまして、そこが自分の題材を見つけやすいような状況になっているというふうに思いました。「深めよう」や「トライ」なども課題とするテーマを見つけやすくなっており、時代を多面的、多角的にとらえられるまとめとしてのこの時代の特色をとらえよう、この時代の学習を確認 しようという点においても課題がきちんと整理され、歴史の流れをまとめるという意味では最適ではないかと感じました。

また、今、2人の委員がおっしゃっている育鵬社ですけれども、前回の採択の際に課題であった、歴史の流れがわかりにくいという点は大変改善 されていると思いますし、特に人物の扱いについてはどのように調べ、まとめればよいかということが明確に示されているように思います。「鳥の目、虫の目」という絵巻を通して見る日本の伝統文化にも興味・関心を引くようなものがあるというふうにも感じました。ただ、全体のバランスそれから繰り返し学ぶことを主眼に置いて、歴史の流れをとらえていく、日 本史、世界史とのバランス、学びを通して自分の課題として歴史をとらえていく、そういった視点では東京書籍がよいかなと思います。

阪井委員  この歴史で学ぶことは、先ほど井上委員もおっしゃいましたように、まず歴史の大きな流れを理解すること、そしてその歴史について考察する力 や、それを説明する力を育成すること、また、近代・現代の学習をすることによって理解を深めること、伝統文化の学習、我が国の歴史の背景となる世界史の取り扱いを充実させることとあります。その中で私は2者の本 について特色をお話したいと思います。

まず、東京書籍は歴史を学ぶという観点におきましては、非常に年表の 色と各章の色が合わせられていることにより、時代を理解しやすくなって いることがよいのかなと思いました。また、本文下のページの特に左下の 方に年表が載っているので、今、自分がどの時代のことを学んでいるのかということが理解しやすいつくりになっていると思います。まず、一番最初、本を開いたところから日本の国宝や重要文化財、そして世界遺産が写真で記されていて、歴史学習のはじめに、歴史は昔のことを記憶していく学習ではなく、過去の人々の生き方に関わる学習なんだよというような取り扱いになっていました。その中において「歴史スキル・アップ」、「深め よう」で、関心を持たせ、考えを深めて、さらに広げられていくような工夫をされていると思いました。同じページの中に語句の説明が、番号が振っていてわかりやすくなっているのもよいと思いました。「歴史にアクセ ス」、「調査の達人」、「女性コラム」など技能を身につけたり、それに関連する内容を深めること、また、女性の姿を紹介し、理解を深めるようなつくりになっているのもよいと思いました。「トライ」や「確認」で学習内 容を確認して深めていくこともできるようになっておりました。各章に「私たち歴史探検隊」というコーナーがあって、地域の歴史を調べる学習 活動をしていけることも示されていました。旧東海道の藤沢宿にあった我 が市が地域の歴史を調べるときには、これを活用することができるのかなと思いました。

一方、育鵬社ですけれども、一番最初に「これから歴史の旅を始めます」 ということで、歴史のものさしが示されていて、年代や時代の区別があら わされ、「人物Q&Aカードのつくり方」ということで、人物と歴史の理解ができるように、最初に記述されておりました。各章のはじめに、ものさしの入った年表で学習の範囲が示されていて、この歴史を旅していくというイメージで船の写真が各章のはじめに出ておりました。歴史の絵巻を「鳥の目」で見ることで大きな時代の流れを確認し、「虫の目」でいろいろな問題が提示され、本文に入っていくというつくりになっていました。 その本文の中には人物がクローズアップされ、「歴史ズームイン」でさらに学びを深めていけるつくりになっています。用語も欄外にきっちり書か れていて、資料集がなくてもわかるような編修になっていました。図や写真もあって「調べてみよう学習」では、これらを使って理解を深めていくことができるかと思います。「このころ世界は」というようなページも用意されていて、世界史もちゃんと記述されています。「なでしこ日本史」で活躍する女性が紹介されているのは、社会参画をしていく女性のことが 記述されているのも非常にわかりやすいと思いました。巻末についていた年表においては、日本の主なできごと、政治、経済、社会と合わせて文化が別に記されています。文化・芸術については多数掲載されているので、人物紹介の数や文化・芸術についての紹介も多く、非常に読んでいて楽しくなるような教科書だったように思います。いずれの教科書も非常に工夫がされていると感じました。

関野委員長  私は歴史の教科書は育鵬社がいいなと感じました。何と言っても、先ほどからお話に上がっていますけれども、取り上げられている人物の数が539 人と圧倒的に多いです。子どもたちが歴史に興味を抱くのには、より多くの人物に触れることはとてもよいことだと思います。また、「なでしこ日本史」というコーナーでは、各章の終わりに、その時代の女性を多く取り上げていて、女性が活躍することに期待されている今の時代の子どもたちに大きな勇気を与えるのではないかと感じました。また、遊行寺の一 遍上人ですとか、富嶽三十六景の「神奈川沖浪裏」など、藤沢にかかわりのあるものも取り上げられていて、子どもたちもとても興味がわくのではないかと思います。また、各章の話に、これも先ほどからたくさんお話があがっていますけれども、「鳥の目」と「虫の目」で見るというページがございまして、その時代の全体像、また特徴的な部分が非常にわかりやすくまとめられていて、とてもいい教科書だなと思いました。

関野委員長  いろいろな視点からご意見をいただきましたけれども、総合的に判断しまして、社会(歴史的分野)は育鵬社ということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

ご異議ありませんので、社会(歴史的分野)は育鵬社にいたします。

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【 社会 公民的分野 】

関野委員長   続きまして、社会(公民的分野)についてです。発行業者は7者、東京 書籍、教育出版、清水書院、帝国書院、日本文教出版、自由社、育鵬社です。ご意見をお願いいたします。

阪井委員   公民を学ぶ目標ですけれども、現代社会をとらえるものの見方や基礎を養うことであったり、社会の変化に対応した法や経済、金融に関することを学習すること、また、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要になる資質を養うことです。その観点から2つの教科書の特色を述べさせていただきたいと思います。

まず、東京書籍の教科書です。この教科書の中では基礎的な知識や概念を習得させ、また、さまざまな課題について、その解決の方法を考える力を身につけられることや、社会参画することの意味やそれを養っていく工夫が編集の中に感じられました。章ごとに色分けをされていて、写真のページから始まり、何を学習するのかが非常にわかりやすくなっていました。 文章はやさしい文章でした。用語についても先ほどの歴史と同じように、 欄外に補足して理解が深められるように説明がつけられていたり、図や表や写真も多く取り入れられていました。「公民にアクセス」や「深めよう」、 また、インタビュー、コラムなどで体現した知識を補うことによって理解を深められる工夫がされています。「公民にチャレンジ」や「トライ」で考えを深めたり、話をし、理解を深く展開させるような工夫があったかと思います。

もう1冊は育鵬社の教科書です。この教科書の特色は、まず、「なぜ公 民を学ぶのか」という疑問の提起から始まっていて、公民とは何なのか、何を学ぶのかということが人生のものさしという形で書かれていました。 自分の過去、現在、未来を考えることで、他人事であったことが自分事になり、また、学習の内容の理解につなげられていくようなつくりになっていました。「つかむ、調べる、まとめる」で公民的な資質を育む、そんな編修になっていたように思います。「考えよう」、「やってみよう」で、みずから考える設定もあります。章のはじめを入口として考えさせ、最後を まとめで学習の確認ができるようになっている、非常にできのよい教科書だと思います。

吉田委員   公民については、やはり法令、政治、経済を学ぶことによって個人と社会の関わりを理解して、社会の課題について、みずから考えようとする生徒を育むということを目指していただきたいと考えます。そういう点で教科書ですが、3つの教科書について述べたいと思います。

まず、東京書籍ですけれども、章のはじめに、スーパーマーケットから 現代社会を見てみようとか、「ちがいのちがい」といったように、話し合える教材を用意して、身近な課題をみずからの手で探り出し、学習を深めようとする意欲につながると感じます。これは教員の調査書の中にも「見開きに、本時のテーマがあり、スムースに課題に入れるように工夫されている」というふうにありますし、「ポイントには解説も準備され、わかりやすく工夫されている」というふうにも書かれておりました。また、公民 として生きていく上では、いかに世の中のことを自分のこととしてとらえ、 多くの人々の意見に耳を傾ける中で、自分の意見を主張するかが問われると思いますけれども、「公民にチャレンジ」のコーナーにおいて、個人の課題として、またグループの課題として、共に作業を行い、学びを深める ことができるようになっていました。「深めよう」で学んだことを実際に 生かすようにするために、コラムがあり、「トライ」によって実践活動へと結びつけるようになっている、頭の中で考えることから、実生活の中での実践に結びつけていくところが優れているというふうに思いました。何より身近な課題について学んだことを活用して話し合う場面の設定が多 いということは、藤沢の生徒にぜひ身につけていただきたい力だと私は思 います。

帝国書院については、歴史と同じように、学び方が大変よくわかるように構成されております。学習の前に、授業の始めに、学習課題があり、ク ローズアップで実社会の実例を示して、授業の後に「確認しよう」があり、学習上大切な手順を書き出す作業の紹介である「説明しよう」につながり、 そして章の終わりに「学習を振り返ろう」ということを設定しています。 細かい内容の点でも幾つかよいところがあるのですが、全体の流れとしては帝国書院もよいなと思いました。

育鵬社ですけれども、育鵬社はまず人生のものさしを掲載して、自分の 過去、現在、未来を自覚させるためのシートがあって、自分を振り返ることができるようになっています。学び方として「やってみよう」とか「家族が生きてきた時代を調べよう」といったようなテーマの設定がしっかりとなされており、「やってみよう」、「理解を深めよう」、「考えよう」で、 生徒が身近に感じて意見交換ができるような題材も取り上げているというふうに思います。ただ、先ほど申し上げたように、実際の社会と自分たちを結びつけて考え、それを自分の考えをまとめた上でグループと協議を していく、そういう実践的な活動の流れの中を見ていきますと、東京書籍 がよいかなと思います。

井上委員   公民的分野につきましては、現代社会をとらえる見方とか考え方の基礎を養う学習、そして現代社会のとらえる見方、そして経済や金融というようなところまで学習が重視される点をというふうに思います。そして課題の探求を通して社会の形成に参画する態度を養う、こういったことが求められる問題だと思います。そういう中で東京書籍につきましては、国際社会に生きる平和で民主的な国家・社会の形成者として、必要な公民的資質の基礎を養う、あるいは人権尊重の意識、民主主義及び民主政治の理解をすること、そして社会の仕組みや経済活動に対する見方、考え方がしっかり述べられておるというふうに感じました。

もう一点は育鵬社ですけれども、他人事ではなくて自分のこととして現代社会をとらえる教材を充実させているというふうに感じております。

以上から、私は育鵬社並びに東京書籍ということで説明いたしました。

 小竹委員  先ほどからお話にのぼっております東京書籍と育鵬社ですけれども、どちらも国家機能とか行政、経済、社会保障など図や解説でとてもわかりやすく丁寧に説明されていると思います。東京書籍ではシミュレーションが「市長に立候補してみよう」とか、模擬裁判などと具体例を示しながら考えることを促しております。巻末はレポートの作成のページがあり、資料 の収集から読み取り、考察、話し合いの資料があります。震災についてですが、こちらの方は仙台の被災を取り扱っておりまして、この被災の実態もそうですけれども、その規模と復興、防災に向けての取り組みが示されておりました。章ごとに学習のページがあって、家庭学習にも便利だと思いました。 育鵬社は、全体の記載が東京書籍よりも自由な形で進められているので、 シミュレーションの具体例などはあまり示されていないけれども、その分、 自分たちで題材を選んでプレゼンテーションができるようなゆとりと自由度が授業に参加できるようなタイプの教科書ではないかなと思いまし た。東京書籍に比べると、国の権利とか領土問題について詳しく提示をしております。また、東日本大震災については実際の出来事、それから各国からの支援とか世界から見た被災を受けた日本への評価などが記載されており、規律正しく対応する日本国民の評価が生徒たちの日本人としての誇らしさを感じてもらえる一助になるのではないかと思いました。

本の一番初めに、「戦後の日本と世界の主なできごと」という年表がありまして、学習を始めるに当たってインパクトがあると思いました。育鵬社がよろしいかと思います。

関野委員長  私も公民は育鵬社がいいと思います。先ほど阪井委員もおっしゃっていましたけれども、巻頭に「なぜ『公民』を学ぶのか?」という文章があり まして、自分も国や社会などの公の一員として考え、公のために行動できる人と公民の意味をわかりやすく説明するところから導入されています。 また、「人生モノサシ」というページでは、法律、政治、経済、国際社会 などがどのように自分と関わってくるのか、必要なのかということが書かれていて、義務教育を修了して、社会に出る前の心構えを養うのにはとてもいいように感じました。「やってみよう」というページでは、取り組みやすいテーマを通して考え、話し合う活動ができるのもとてもいいなと感じました。「理解を深めよう」というコーナーでは、より詳しい記述がさ れていて、子どもたちの興味を引く内容になっているなと思います。以上のことから育鵬社がいいと思いました。

その他、ご意見ございますか。

吉田委員  今、東京書籍か育鵬社かというような感じで論点が整理されているのではないかと思います。いろいろな面で、先ほどの歴史もそうですけれども、 人としての生き方、それから日本の国への愛情とか社会の形成についての考え方、生き方については、歴史や公民の時間ということだけではなくて、中学生の生活、教育活動の全般を通して子どもたちに育んでいく力ではないかなと思います。そういう点で見て、教科書をどう使うか、教科書をどのような形で子どもたちに教えていくか、そういうポイントとあわせて子どもたちがどのように学ぶかということは非常に必要になってくるというふうに考えると、学び方が多いもの、それから先ほどから何度も申し上げておりますけれども、多面的、多角的に物事を見ていく力がつく、例えば日本や世界が抱える諸課題について話し合いによる学習ができて、それを深めさせていくができることから、全体に写真の量も多く、それによって資料から判断することができる。課題についても生徒が興味を持って実際に取り組んでいけるような、例えば今度、18 歳で参政権が与えられますけれども、そういった課題があるものというような観点からすると、私はぜひ東京書籍を推したいと思います。

関野委員長  その他、ご意見ございますか。

ないようですので、たくさんのご意見、ありがとうございました。東京書籍と育鵬社ということで、いろいろご意見をいただきましたけれども、育鵬社の方が若干ご意見の数が多かったように思いますので、社会(公民 的分野)は育鵬社ということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

ご異議ありませんので、社会(公民的分野)は育鵬社といたします。

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